ゆふづくよ… 分類和歌 「夕月夜潮満ち来(く)らし難波江(なにはえ)のあしの若葉にこゆるしらなみ」出典新古今集 春上・藤原秀能(ふぢはらのひでよし)[訳] 空には夕月がかかり、今しも潮が満ちてくるらしい。難波江のあしの若葉を越えて打ち寄せる白波よ。 鑑賞上の句で難波江全体を巨視的にとらえ、下の句で「あしの若葉」とそれを越える「しらなみ」に焦点を絞って微視的にとらえている。「らし」は根拠ある推定で、「難波江の…」以下がその根拠を示す。 ゆふ-づくよ 【夕月夜】 名詞①夕方に空に出ている月。夕月。②月が出ている日暮れ方。夕月がかかっている夜。出典万葉集 一五五二「ゆふづくよ心もしのに白露の置くこの庭にこほろぎ鳴くも」[訳] 月が出ている夕暮れ、心もうちしおれるばかりに白露が置いているこの私の家の庭で、こおろぎが鳴いているなあ。◆「ゆふづきよ」とも。 ゆふ-づくよ 【夕月夜】 分類枕詞①夕方の月は夜中に沈んで、暁は闇(やみ)になることから「暁闇(あかときやみ)」にかかる。出典万葉集 二六六四「ゆふづくよ暁闇の」[訳] 月のない明け方の闇の。②夕方の月はほの暗いところから「小暗(をぐら)し」と同音の地名「小倉(をぐら)」にかかる。「ゆふづくよ小倉の山に」 |