-ふぜい 接尾語① 〔名詞に付いて〕…のような(もの)。出典徒然草 五四「箱ふぜいの物にしたため入れて、双(ならび)の岡の便(びん)よき所に埋(うづ)みおきて」[訳] 箱のような物に丁寧に収めて、双の岡(=京都の北部の地名)の都合のよい所に埋めておいて。②〔人を表す語に付いて〕…のような奴。…ごとき者。出典薩摩歌 浄瑠・近松「うぬらふぜいと太刀打ちは」[訳] おまえらのような奴との相手は。 ふ-ぜい 【風情】 名詞①風流な趣。情趣。風雅。出典方丈記 「岡(をか)の屋にゆきかふ船をながめて、満沙弥(まんしやみ)がふぜいを盗み」[訳] 岡の屋(=船着き場)に行き来する船をながめて、沙弥満誓(しやみまんぜい)(=奈良時代の歌人)の風流な趣をまねて学び。②ようす。ありさま。気配。出典義経記 六「景時(かげとき)父子が命に従ふ者、風に草木の靡(なび)くふぜいなれば」[訳] 景時父子の命令に従う者は、風に草木がなびくかのようなようすであるので。③(能楽で)趣のある所作。しぐさ。出典風姿花伝 六「為手(して)の言葉にもふぜいにもかからざらん所には、肝要(かんえう)の言葉をば載すべからず」[訳] 主役の言葉にも所作にもならないような所には、大事なせりふを書き入れてはならない。 |