かぎり 【限り】 名詞① 限界。限度。出典源氏物語 桐壺「かぎりあれば、さのみもえとどめさせ給(たま)はず」[訳] (とめるのも)限度があるので、そんなにまでおとどめになることがおできにならず。②極限。最大限。出典古今集 恋二「わが恋は行方も知らず果てもなし逢あふをかぎりと思ふばかりぞ」[訳] 私の恋は、行方もわからないし、終わりもない。だから会っている今を極みと思うだけなのだよ。③あいだ。うち。出典更級日記 物語「夜は目のさめたるかぎり、火を近くともして」[訳] 夜は目がさめているあいだ、灯火を近くにともして。④全部。すべて。出典奥の細道 旅立「むつましきかぎりは、宵よりつどひて」[訳] 親しい人々はすべては、(前の)晩から集まって。⑤最後。果て。臨終。出典大鏡 兼通「今はかぎりにておはしまししほどに」[訳] 今にも死にそうでいらっしゃったときに。⑥時期。機会。出典新古今集 恋四「めぐり逢あはむかぎりはいつと知らねども」[訳] 今度めぐり会うであろう機会はいつと知らないが。⑦それだけ。そればかり。出典枕草子 猫は「猫は、上のかぎり黒くて、腹いと白き」[訳] 猫は、上だけが黒くて、腹の方はたいへん白い(のがいい)。 |