あ・く 【開く・空く】 >[一]自動詞 カ行四段活用活用{か/き/く/く/け/け} ①ひらく。出典竹取物語 かぐや姫の昇天「立て籠(こ)めたるところの戸、すなはち、ただあきにあきぬ」[訳] 閉め切っておいた所の戸が、すぐに、ただもうどんどんひらいてしまった。②(すきま・穴などが)あく。出典竹取物語 かぐや姫の昇天「あける隙(ひま)もなく守らす」[訳] あいているすきまもなく守らせる。③欠員ができる。出典更級日記 富士川「この国、来年あくべきにも」[訳] この国は来年(国守の)欠員ができるはずであることに対しても。④ある一定の期間が終わりになる。出典源氏物語 松風「今日は六日の御物忌(い)みあく日にて」[訳] 今日は六日間の御物忌みが終わりになる日なので。 >[二]他動詞 カ行下二段活用活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}①(閉じていたものを)あける。出典和泉式部集 「門(かど)もあけねば、御使ひ待ち遠にや思ふらむ」[訳] 門もあけないので、お使いが待ち遠しく思うだろう。②(すきま・穴などを)あける。出典源氏物語 蜻蛉「道あけ侍(はべ)りなむよ」[訳] 通り道をあけてしまいましょうよ。 はだ・く 【開く】 他動詞 カ行下二段活用活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}大きく広げる。出典太平記 一〇「大手(おほで)をはだけて追ひける間」[訳] 両手を左右に大きく広げて追ったので。 ひら・く 【開く】 >[一]自動詞 カ行下二段活用活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}①咲く。出典源氏物語 賢木「それもがと今朝ひらけたる初花に劣らぬ君が匂(にほ)ひをぞ見る」[訳] それがほしいと待たれて今朝咲いたゆりの最初の花にも負けないあなたの美しさを私は見る。②始まる。起こる。明ける。興る。出典古今集 仮名序「天地(あめつち)のひらけ始まりける時より」[訳] (和歌は)天と地がおこり始まった時から(よまれた)。③盛んになる。繁栄する。出典大鏡 後一条「入道(にふだう)殿の御栄花(えいが)も何によりひらけ給(たま)ふぞ」[訳] 入道殿下のご栄華も何が原因で盛んになられたのであろう。 >[二]自動詞 カ行四段活用活用{か/き/く/く/け/け}①あく。広がる。ひらく。ひらける。出典奥の細道 出羽三山「三尺ばかりなる桜の、つぼみ半ばひらけるあり」[訳] 三尺ほどの桜で、つぼみが半分ひらいているのがある。②逃げる。退散する。帰る。終える。出典太平記 一五「ただまづ筑紫(つくし)へ御ひらき候(さうら)へかし」[訳] さしあたってはまず筑紫の国へお逃げください。 >[三]他動詞 カ行四段活用活用{か/き/く/く/け/け}①あける。ひらく。あけ広げる。出典枕草子 頭の弁の、職にまゐり給ひて「孟嘗君(まうさうくん)のにはとりは、函谷関(かんこくくわん)をひらきて」[訳] 孟嘗君のにわとりは、函谷関という関所の扉を開いて。②明らかにする。解き明かす。出典太平記 二五「不審をひらかんために尋ね申しつるなり」[訳] 疑問を明らかにするためにお尋ね申し上げたのだ。③盛んにする。繁栄させる。出典平治物語 下「一生の春の風にひらき」[訳] (唐の太宗は仏教興隆の功徳(くどく)により)生涯を春風のごとく繁栄させ。 |