かな・ふ 【適ふ・叶ふ】 >[一]自動詞 ハ行四段活用活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ} ①適合する。ぴったり合う。出典万葉集 八「熟田津(にきたつ)に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕(こ)ぎ出(い)でな」[訳] ⇒にきたつに…。②思いどおりになる。成就する。出典更級日記 子忍びの森「思ふこと心にかなふ身なりせば秋の別れを深く知らまし」[訳] 思うことが何事も心の思いどおりになる身であったならば、秋の人の別れを強く感じることができるだろうに。③〔多く下に打消の語を伴って〕いられる。すまされる。かなう。出典徒然草 一二一「なくてかなはぬものなれば」[訳] 人間の生活になくてはすまされないものなので。④〔多く下に打消の語を伴って〕対抗できる。かなう。出典平家物語 一一・能登殿最期「あはやと目をかけて飛んでかかるに、判官(はうぐわん)かなはじとや思はれけん」[訳] (能登(のと)殿は)ああ、と判官(=源義経)目がけて飛んで襲いかかると、判官はかなわないとお思いになったのだろうか。⑤〔多く下に打消・否定表現を伴って〕できる。可能である。出典古今集正義 「これら深く積もるに見てかなはんや」[訳] これらの様子は、深くつもった(雪の)状況を見て(想像)できようか、いやできないだろう。 >[二]他動詞 ハ行下二段活用活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}実現させる。かなえる。出典竹取物語 燕の子安貝「ここに使はるる人にもなきに、願ひをかなふることのうれしさ」[訳] わが家に使われている人でもないのに、願いをかなえてくれることのうれしさよ。 |