かたら・ふ 【語らふ】 他動詞 ハ行四段活用活用{(は/ひ/ふ/ふ/へ/へ)} ①親しく話し合う。じっくりと話す。出典伊勢物語 六九「子(ね)一つより丑(うし)三つまであるに、まだ何ごともかたらはぬにかへりけり」[訳] (女は男のところに)子の一刻から丑の三刻までいっしょにいたが、まだ何も親しく話し合わないうちに(女は)帰ってしまった。②相談する。出典更級日記 初瀬「そこは内にこそあらむとすれ。博士の命婦(みやうぶ)をこそよくかたらはめ」[訳] あなたは宮中にお仕えしようと思っている。博士の命婦によく相談するのがよかろう。③親しく交際する。懇意にする。出典枕草子 ありがたきもの「女どちも、契りふかくてかたらふ人の、末までなかよき人かたし」[訳] 女同士でも、固い約束をして親しく交際している人で、最後まで仲のよい人は、めったにいない。④(男女が)契る。出典宇治拾遺 二・一一「さるべき所に宮仕へける女房(にようばう)をかたらひて」[訳] しかるべき高貴なところに宮仕えをしていた女房と契り合って。⑤説得する。仲間に引き入れる。出典徒然草 五四「能ある遊び法師どもなどかたらひて」[訳] 芸能の出来る遊芸の僧たちなどを仲間に引き入れて。 |